No.6 大方広仏華厳経、そして五部大乗経と阿寺の人々2021.1.31 訂正2021.2.21※訂正は赤字で表示させてください。トップページへ戻る
阿寺の洞泉寺に伝わった五部大乗経にはどんなことが書かれているのか、、、まずはその一つ、大方広仏華厳経(だいほうこうぶつけごんきょうについて少しふれてみましょう。
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全譯『大方廣佛華嚴經』巻上(江部鴨村 訳,昭和10年)より翻訳を一部掲載ます。以下の出典のページにより転載させていただきます。
24)全訳『大方広仏華厳経』世間浄眼品(一)(1) | 華厳経研究のブログ (ameblo.jp)
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私どもは次のように承わって居ります。——
あるとき、ほとけが摩竭提國(まかだこく)のさとりの庭にお在(い)でになりました。ほとけが始めて正しいさとりをお開きになったとき、その地面は金剛を敷きつめ、何処からどこまで厳かに浄らかでありました。——もろもろの宝、くさぐさの花のよそおい美しく、上妙の宝輪はまどかに清らけく、無量の勝れたもので、種々に荘厳されたあり様は、あたかも限りなき海原のよう。七宝の旗ほこ•旗•天蓋はひかり輝やき、妙香•花輪の行きわたれるうえを、七宝の網で限なく覆い、無尽のたからが雨のように自在にあらわれ、くさぐさの宝の樹木は、かがやくばかりに葉と花とを茂らせ、げにも仏の不思議なおちからの故に、さとりの庭はひろく浄らかに、光明あまねく照して、一切のすぐれた宝をつみ重ね、無量の善根をもって、かくもおごそかに装飾したのでございます。
その菩提樹はたかく秀でて世の常とことなり、清浄の璃瑠をもってその幹とし、飾りいみじき妙宝の枝に垂れしげれる宝の葉は、あたかも層雲のごとく、雑色のたからの花がそのあいだに点接し、木の宝は如意珠で、樹木のはなつ光は、あまねく十方の世界をてらし、種々の不思議をあらわして、仏事をなすこと窮りなく、あるいは広く大乗菩薩道のおしえを顕わし、あるいは仏の不思議なおちからの故に、つねにあらゆる微妙な音声をはなって、如来の無量無辺の功徳を奉讃しました。
また仏の坐したまえる獅子の座は、あたかも大海のごとく、もろもろの妙宝の花をもって飾られ、流るるひかり雲の如く行きわたって、無数の菩薩の広大な世界をてらし、大音とおく響きわたり、如意珠(にょいしゅ)のそれに踰(こ)えていや尊とき不思議な如来の光明がそのうえに彌覆(みふ)し、種々に変化して仏事(ぶつじ)をしめし、一切ことごとく覩(み)て碍(さ)へさまたぐるところなく、一念のあいだにあらゆるものを現わして字宙間に充たしめ、如来微妙(にょらいみみょう)の蔵がひとつとして至らぬということなく、無量の宝でこの宝台を荘厳しました。
ほとけは此のたからの獅子座のうえで、あらゆる法において、もっとも正しいさとりをお開きになったのでございます。三世の法の平等なることを了(さと)り、智慧のおん身あまねく、あらゆる世間の身に入りたまい、その微妙の音声は、ひろく一切の世界にゆき渡って、窮りなきことあたかも大空のごとく、その平等のさとりの相(すがた)も、智慧のおよぶ範囲も、ともにおなじく大空のごとく、偏頗のない平等のこころで、に随順したもうた。そのおん身はありとあらゆるさとりの庭に坐したまいて、一切衆生の動静をのこりなく知ろしめし、その太陽のごとき智慧のひかりは、もろもろの暗をのぞいて、ことごとく諸仏の国土を顕現したまい、あまねく三世をてらす広大な智慧のひかりを放って、清浄の境界をてらし、無量(むりょう)の光明、十方に充ちみちて、壤(やぶ)れざるおしえの雲、あまねく一切をつつみ、何ものにも畏れざる自在の神力をもって、無量の自由なちからの光をあらわしたまい、種々の方便をもって、衆生をまことの道にみちびいて下さいました。あらゆる集まりに、その身を落ちなくあらわしながら、実は虚空のように去来したまわず、一切のものに固定した性はないと悟って、万有平等の相に随順したまい、あらゆる光明にあまねく三世の諸仏のはたらきを現わし、不可思議の言語•音声をもって、大海のごとき諸仏世界のそれに、悉くよく随順したもうた。
以上、転載させていただきました。
仏が悟りを初めて開いた時の様子を圧倒的な表現で語っています。
そして、「(過去・現在・未来の)三世の法の平等なることを了(さと)り、智慧のおん身あまねく、あらゆる世間の身に入りたまい」「偏頗のない平等のこころで、あらゆる生類に随順したもうた。」「種々の方便をもって、衆生をまことの道にみちびいて下さいました」「あらゆる集まりに、その身を落ちなくあらわしながら、実は虚空のように去来したまわず、一切のものに固定した性はないと悟って、万有平等の相に随順したまい、あらゆる光明にあまねく三世の諸仏のはたらきを現わし、不可思議の言語•音声をもって、大海のごとき諸仏世界のそれに、悉くよく随順したもうた。」と、すべてのもの(すべての生類)をその道に導くと宣言しています。

洞泉寺の西、山の上の仏様

大方広仏華厳経のはじまりのほんの一部から、すでに壮大な叙述がされています。文化遺産オンラインでは、「五部大乗経は平安時代後期から室町時代にかけて、一切経に代わる最も功徳がある総合経典として国家安穏・五穀豊穣を祈願するため重要視された。」と記載されています。そんな重要な経典ですが、「五部大乗経がほぼ完全な形で残っているのは、県内では珍しく」(市ホームページより)と言うことです。貴重な文化財です。
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